ゆっくりさん

大歓迎な人&スポット

【福岡・筑紫野市】

「こども発達療育相談PASTEL(パステル)」

代表取締役 藤本夏美さんインタビュー①

福岡では珍しい民間の療育機関「PASTEL(パステル)」さん。

ゆっくりさんの子育てに悩むお母さんたちの救世主としてほぼ クチコミだけで現在予約が2年待ちという人気ぶり。

代表の藤本さんに、ゆっくりさんのお母さんたちが抱える課題や PASTELさんの今後の展望について、さらにはお母さんたちからの相談にもお答え頂きました 【全4回】

ゆっくりさんのヘアサロンサーチ(以下、ゆ):PASTELさんは、オープンから5年間公式サイトなどもなくて(現在は公式HPがあります)、純粋にお母さんたちのクチコミだけでこれだけ人気が殺到しているのは凄いですね。しかも民間の療育機関は珍しいと思うのですが、どういった経緯で立ち上げられたんでしょうか?

藤本夏美さん(以下、藤):もともとは、福祉の枠で児童発達支援とか放課後等デイサービス(以下、放デイ)を利用して頂きながら、プラスアルファでもう少し個別の療育も受けたいっていう方に有料で受けられる仕組みにしたかったんです。ただそれを福岡でやろうとすると、そもそもそういった施設の前例がないということで、県から許可が下りなくて。前例を作りませんかという声かけからスタートだったんです。

ゆ:前例がないことへの行政のハードルの高さは想像を絶します。スタート時からいきなりの高い壁が…。そこで諦めずに、民間の療育機関という珍しいスタイルに辿り着いたのはどういった経緯が?

藤:もともとこのサービスを始めたいと思ったのは、私とPASTELで今一緒に代表をしているメンバーが、同じ発達障害者支援センターで働いていたことがきっかけでした。私たちは乳幼児から成人の方までを対象に相談支援員として、日々の相談業務や学校現場の巡回相談も対応する中で、お子さんたちが、より良い生活ができるように工夫を一緒に考えるということをさせて頂いていました。

当時は相談員の立場で「療育先としてこういう場に行ってみられたらどうですか?」と紹介している側だったんですよ。でも私たちが自信を持って紹介できる療育機関の場所が限られていて。さらには4~5年待ちという状況で…。毎日いろんなお母さんたちとお話しするのですが、放デイのような、小学生以上のお子さんを小学校が終わった後にお預かりをする場所というだけではなくて、彼らの脳のタイプに合わせて対応してくれる場所があまりにもなかったんです。

私たちは県の施設スタッフでもあったので、相談業務と並行して、療育のようなこともちょこちょこさせて頂いていて。私が継続して対応させて頂いていたお母さんたちから「もしお金が多少高かったとしても、療育を受けられる場所があったらいいなぁ」という声をたくさん頂いていたんです。でも当時働いていたのは、県の委託を受けた施設だったのでやれることにはどうしても限りがある。でも私たちには、地域の中でもうちょっと出来ることがあるんじゃないかと決意し、同じような志を持っていた児童発達支援事業所でお子さんを支援していた先生と一緒に立ち上げようと思ったのがきっかけでした。

ゆ:療育機関の不足や予約待ちの長期化が深刻という話は、ゆっくりさんのお母さんたちから本当によく聞きます。さらには、小学校1年生に上がると同時に療育が打ち切られて、特別支援学校や特別支援クラス、放デイ利用への切り替えで、困りごとを相談できる場所がなくなったと嘆くお母さんたちも多いです。

藤:その話もよく聞くので、PASTELでは個別の脳のタイプに合った教育サービスを提供したいと考えていたのですが、私たちが理想とする事業形態だと福岡県内で許可がおりなくて…。いろんな方にご相談する中で、民間でやったら?というアドバイスを頂き。そうすることで本当に来たいと思っているお母さんたちが集まってくるから、このスタイルでもいいんじゃない?と後押しして頂いて、これまでにない珍しい民間の塾の形態で登録して立ち上げたんです。

英会話とかスイミングなどのように、0歳児とか2歳児教育のようなものが始まっている中で、なぜ「言葉が出るのが遅い」「視線が合わない」「癇癪が多い」といった子どもたちが習い事みたいに習える場所ってなんでないんだろうっていう素朴な疑問があって。病院みたいな大きな施設とは違う形で、塾みたいな形で通えたら、もっと気軽に地域で垣根なく学べるのかなと。

私が出逢ってきたお子さんたちの中には知的に遅れがある子もいれば、知的には高いのに、こだわりがすごく強くて生活しづらいという自閉度が重いお子さんがたくさんいました。今問題として多くなってきているのが、いろんなタイプの子たちがいる放デイなどの事業所さんの中でうまくやっていけずに、そこで不登校になったり、癇癪が出て他害が出てしまったりというトラブルに発展してしまっている事例です。それで集団の中ではなく、個々に応じて学習できる場所があれば、彼らにも出来ることがいっぱいあるんだけどなぁと。あればいいなを形に、やってみようと立ち上げたんです。

今、PASTELの料金は1時間1万円を頂いています(2020年4月20日時点)。その金額に衝撃を受けられる方も最初は多かったと思うのですが、オーダーメイドで個々の脳のタイプに合わせて療育をやるとなると、その金額でも経営がなかなか難しくなるんです。準備する時間が8割とよく言われるんですが、そこに時間をかけるので、一人ひとりに時間をかけるとどうしてもそのくらいの金額になってしまう…。

ゆ:なるほど。有料でも通いたいと予約が来年まで埋まっているPASTELさんの人気の高さは、療育の質はもちろんですが、特別児童扶養手当の範囲内で通えるようにとその金額におさえてらっしゃるという良心的な価格設定からも頷けます。とはいえ、クチコミだけでこれだけお母さんたちから信頼を集めるのは凄いですね。

藤:ただ最初は広めるのにも苦労しました。民間で有料でのサービスということで、行政の方とお話しをすると、そもそもの選択肢の一つに入れてもらえなかったというのがあって。たとえば、赤ちゃんが生まれて就学前までの健診などで、一番最初に関わる専門家は保健師さんなんですが、福祉枠の事業所さんだったら保健師さんたちがお母さんたちに「こういう場所があるよ」と自動的に紹介されるんですが、民間で有料ということになると選択肢にも入れてもらえない…。

事業を立ち上げた当初、福岡県内のある市町村での1歳半、3歳児健診で相談員として働いていたんですが、保健師さんたちがそもそも発達障がいを早期発見するためのポイントをよく理解していないという状況に直面しました。

1歳半の健診で発達の遅れを指摘されても、2歳までは様子を見たいというお母さんたちがすごく多いんです。本当なら1歳半だと3語はほしいんですが、3語出ていない時に、うちの親戚は4~5歳で喋りだしたからといった理由で、もう少し待ちたいと。ただ、お母さんたちがいちばん最初に困ると言われるのがお子さんが2歳の時期。お母さんたちが1歳半では待ちたいと思ってそのままにしてしまうと、次に専門家に会える健診があるのは3歳なんですよ。

ゆ:発達の遅れがある場合、療育は早ければ早いほど良いとされていて、最近では2歳前からの超早期療育の効果の高さが伝えられていて、1歳半から療育に通いだすのと3歳からではかなり効果に差が出てきますし、その間孤立してしまうお母さんの心のケアも心配ですね。

藤:そうなんです。なので、毎回健診後に行われていた保健師さんたちとのカンファレンスでそんな話をしていたところ、指摘していた通りの困りごとがお家であったとお母さんたちから報告が入り出して。すると保健師さんたちから勉強したいって言って下さるようになり、研修会に呼ばれるようになったんです。お母さんたちが出産後に初めて出逢う専門家にPASTELのことを知って頂いたことで、お母さんたちが来てくださるようになって、そのお母さんたちからの声で行政を動かしたというか。PASTELの存在意義を現場に感じてもらえたことが大きかったかなと思います。今ではご紹介の何割かが保健師さんからだったりするので、本当にありがたいと思っています。

立ち上げ当初に大きな壁は何度もあったんですが、最初は私たちが訪問していたのに、5年経って初めて行政の方が自ら足を運んで来てくださるようになって。地道にコツコツやってきて、ようやく認めていただけるようになったかなと思っています。 (つづく)

【ゆっくりさんへのオススメスポットデータ】

株式会社ぱすてる

「こども発達療育相談PASTEL」

公式HP:https://pastel-color.co.jp/

住所:福岡県筑紫野市桜台1-30-1-104

☎ 092-919-6122/ FAX 092-919-6133

MAIL info.pas.apple@gmail.com

[開校時間] 9:00~19:00 (木曜・日曜定休)

【事業内容】

発達に気になるところのあるPASTELカラーの子ども・発達しょうがいのこどもの個別療育、個別相談、ペアレントトレーニング、研修会開催、コンサルテーションの実施など

※申し訳ありませんが、現時点ではセッション開始までに約2年の待機が出ています。事前相談は受け付け可能なためご連絡ください。