ゆっくりさんのタメになる話

第三回 防災のこと

更新:2020/3/12

✽発達障がいのある保護者の方のアンケート結果より✽

防災について


2011年3月11日に発生した東日本大震災で、そして2016年4月14日 に発生した熊本地震でも、ゆっくりさんやその家族の多くが、トラブルを恐れて避難所に入れず、車や自宅での生活を強いられたと報道されていました。行列に長時間並べず、食料や水の配給すら受けられず、餓死寸前だったところをNPO団体に発見された親子もいたそうです。


上記の表は、約4年前に独自に取得したゆっくりさんの保護者198名の方へのアンケート結果です。約半数の方が防災対策をしていないことがわかります。コメントの中には、「何をしたらよいかわからない」というコメントも目立ちました。※下部のアンケートコメント一覧参照ください。


約1年前にある講演会で、福岡市立今津特別支援学校の森孝一校長先生よりお話しいただいた、熊本地震での支援経験を活かした防災への取り組みや課題について学んだことをご紹介したいと思います。


「いちばん大切なことは、【想像力】」

教育委員会からの依頼で熊本地震の際に、特別な支援が必要な障がいのある子たちの支援のため、先遣隊として益城地区に入られた森先生。

いちばん大切なことは、【想像力】だそうです。「あなたが住んでいる町にいま地震が起きたらどうなるだろう?」


お子さんたちの様子は、小さな揺れや音に敏感になる、パニックやこだわりが増えるといった地震後の不安定さがあったそうです。

震災時の学校の画像では、ガラスが散らばった体育館は避難場所として機能できない状態で廊下には棚がふさいでいてここに子供たちがいたらどうなっていたか、と胸が押し潰されそうになりました。


【課題】

知的に遅れがある子やゆっくりさんは特に配給の列に並べない。親が子どもの見守りがあると訴えても、特別扱いは出来ないと突っぱねられた。

・歯を磨けない(水がないため)

・避難場にいられず(子どもが騒ぎ、出て行けと言われたなど)車中泊が圧倒的に多かった。

・車中泊には援助物資が届かず、避難所にもらいに行くと、避難所にいるよう言われる。

・福祉避難所の場所を非公開にしている自治体もある。理由は、人が殺到するから。

→初めての場所が苦手な子どもたち。福祉避難所を事前に知らされないため、たとえば散歩がてら入り口まで行っておくなどの練習も出来ない。

・福祉こども避難場所の設置がない→福祉避難所は、介護施設になっていることも多く、介護が必要な高齢者の方と、特別な支援が必要な子どもの同居は無理がある。子ども用の福祉避難所を森校長先生は、有事になれば今津特別支援学校に設置するつもりで準備をしている。ただ、同じような場所が残念ながらないのが現状。

・学校だと雑務を一手に担う教頭に負担がかかりすぎる。→人員配置を分散させる必要がある。

・医療的ケア児に非常用発電がいる。→基幹病院に非常用発電機はあるが殺到するため、地域の病院で貸し出しができるようにできないか?

※自治体によっては、医師会提携で連携している実績あり

・スクールカウンセラーさんも全国から派遣された際には、皆さん気合いが入った中、来られるので、被災した現地の職員を集めての会議などを開催しがちだが、「ぶらぶら支援」も大事なのだと。必要なさそうな地域にも派遣されたカウンセラーさんもいたが、何かをする!ということでなくても不安定な地域に、いつでも相談できる存在がいる、それだけで皆に安心をもたらすのだと。まさにその通りだと思いました。


【対策】

・食器棚には飛散防止フィルムを貼る

食品類の備蓄は最低一週間

・白米に飽きないよう調味料セットもあるとよい

・トイレ→水がなく流せないため、排便袋と凝固剤がいる。排便袋を捨てるゴミ袋を沢山用意する。

・感染症予防に歯ブラシ必須

・マンションであれば同じフロアの人と仲良くしておく。地域の集まりに出て行き、子どもに障がいがあることを知っておいてもらうことが大事。

・非常時に常備薬がきれた場合、お薬手帳で普段お薬を飲んでいることが分かれば、診断書がなくても薬をもらえる。お薬手帳は避難時に持っていくこと


ゆっくりさんご家族&支援者の方にお勧めのサイト

『被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ』というリーフレットなどがこちらのサイトにありました。

ご家族、支援者の方、防災グッズの中に入れておくとよさそうです😊


【アンケートコメント一覧】